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英語を使って自然に会話する時のバックチャネリングの重要性とコミュニケーションスキルに必要な相槌方法
<プロフィール>
アンドリュー・N(ニコライ)・ストラック (STRUC, Andrew N.)
外国語学部 教授
アメリカ生まれ、カナダ出身。
University of Calgary(Canad)卒業。M.Ed. (TESOL)取得。専門分野は「英語教育」「Second language acquisition 」。
カナダではFaculty of Continuing Educationを学び、東京外国語センター、千葉国際高等学校、神田外語大学の講師を経て、現在は、麗澤大学の外国語学部で教授としてEnglish communication classなどで英語を使ったコミュニケーションスキルを教えている。
<目次>
流暢な英語を話すのに必要なのは高度な技術なのか?
バックチャネリングとは?
バックチャネリングのイントネーションの違いとスムーズな会話のコツ
バックチャネリングを使ってよりスムーズで流暢な英語を話す

流暢な英語を話すのに必要なのは高度な技術なのか?
流暢な英語を話すことを目標にしている人は、そのほとんどが高度な技術が必要だと思っています。
ですが、本当にそうなのでしょうか? 英語を話すことに特別な会話術が必要なのでしょうか?
都立日本橋高校での特別講習で、アンドリュー・N・ストラック先生は、生徒たちにさまざまな例をだしながら「Back-channeling(バックチャネリング)」の重要性について説いていきます。流暢な英語を使ったコミュニケーションは、実は簡単な言葉を取り入れることで成り立つことが多いのです。

バックチャネリングとは?
バックチャネリング(Back-channeling)とは、リアクションや最小限の反応をとることで、日本でいう「相槌」の役割をもった言葉や動作をいいます。
日本語も日常会話を思い返してみると、じつは相槌を返すだけで会話が成り立ったり、自然に会話を進めていくことができ、とても大切な役割を持っていることがわかります。
また、会話をするときに必ずしも言葉にする必要はなく、うなずくなどのジェスチャーや、顔の表情を使って相手に気持ちを伝えることも含まれるため、バックチャネリングはコミュニケーションには欠かせないことの1つといえます。
バックチャネリングを行うことで、相手に「話を聞いていること」「理解していること」そして「関心があること」を伝えることができます。
「日本語でよく聞くのが、『へぇ、ふぅん、そうなの?、すごい!』などの言葉。これらは英語でも良く使われています」とアンドリュー先生。
生徒たちに日常会話のシチュエーションを思い浮かべてもらい、普段から使っているバックチャネリングについて問います。
「バックチャネリングを使うときは、その時使う言語に合わせることが大切であり、英語を話しているときに日本語のバックチャネリングを使ってもその効果は限りなく少なくなる」とアンドリュー先生は教えます。
バックチャネリングを使うことでスムーズな会話になるだけではなく、相手に「自分はあなたの話を理解し、それに対してのリアクションをしている」と伝えられますが、英会話の中で日本語のバックチャネリングを使ってしまうと、日本語の影響が強くなってしまい、会話が上手く進まずにそのまま長く会話を続けることが困難になってしまうからです。
そのため、バックチャネリングを使うにあたって同じ言語のリアクションをとることが大切になってくるとアンドリュー先生は教えます。

バックチャネリングのイントネーションの違いとスムーズな会話のコツ
バックチャネリングにはいくつかの意味があります。
Please Continue(どうぞ続けてください)の意味を持つバックチャネリングには「Uh-huh、Oh yeah、Really」などがあり、イントネーションには上あがり(Rise)のものもあれば下さがり(Fall)のものもあります。
Positive Comment(肯定的なコメント)のものは「Uh-huh、Oh yeah、Really」などがあり、これらのイントネーションは常に高く(High)、Show Surprise(感嘆・驚きをみせるもの)には「Oh yeah、Really、Seriously、No way」があり、これらは上あがりか高めのものが多いです。
他にも常に低め(Low)のイントネーションをもつものも存在し、その1つ1つに意味や感情が乗っています。
授業の中でバックチャネリングを使わない英会話の映像と使った英会話の映像を見比べます。
使わないほうの映像からはコミュニケーションがうまくとれていない様子がうかがえ、相手の質問に答えた後のリアクションがなければ、まるで警察官に尋問されているような冷たい印象を受けます。
逆にバックチャネリングをうまく使った映像からは、終始なごやかな雰囲気でお互いの意思疎通がとれており、スムーズに会話が進んでいる様子がうかがえます。

また、バックチャネリングを使ったスムーズな会話には、
「Backchannel+So+Question」
が効果的です。例をあげると、
A:Where are you from?
B:I'm from England.
A:Cool! So, what do you do?
B:I'm a teacher.
といった感じで使うことができます。
バックチャネリングを使ってよりスムーズで流暢な英語を話す
英語も日本語もコミュニケーションを図る言語という同じものなので、使うときに難しく考える必要はありません。バックチャネリングも同じで、日本語で無意識のうちにしている相槌、返答、ジェスチャーは、方法が違えど英語にも存在します。
もちろん、英語を話す時に日本語のバックチャネリングを使ったり、日本語を話す時に英語のバックチャネリングを使うのはコミュニケーション自体に不自然さを残し、円滑なコミュニケーションは成立しません。そのため、他言語のバックチャネリングを習得するには、できるだけ自然な日常会話を見て聞き学ぶことが大切です。
今の世の中、動画サイトや海外のニュース、テレビ番組が手軽に視聴できる時代になり、そういったものを目にする機会も多いでしょう。バックチャネリングのみではなく、ほかの他言語学習にも使えます。
英語(他言語)を話すということは、ただ英語の文法を習ったり、単語を覚えるだけではなく、人と人のリアルな会話を取り入れる、コミュニケーションをとることが大切なのではないでしょうか。
英語を使って話したり、学ぶ機会は自らの行動で得られます。英語を使った授業や、外国へ留学する機会、交換留学生との交流などが盛んな大学へ進んだり、個人的な語学留学やワーキングホリデー制度を使って海外へ繰り出したり、日本に興味のある外国の人と交流をはかったり、できることはたくさんあります。
英語が世界共通言語である以上、あなたが何かに興味を持ったときに英語をコミュニケーションの手段にすることは必ず人生の役に立ちますし、英語を話せることが、多くの機会を手にする土台になるのは間違いありません。
アンドリュー・N・ストラック先生が授業を通して生徒に伝えたバックチャネリングの重要性を生かして、英語を話すときに「Verbal(口頭)「Non-verbal(非口頭)」「Co-occurrence(共起)」を意識したコミュニケーションスキルを身に着けてもらえたらなと思います。
